デアザフラビンとは

老化克服成分「5-デアザフラビン」の化粧品~効果について詳しく解説

5-デアザフラビンはビタミンB2の一部が変化した成分ですが、高い老化克服効果があるとして医療、美容の場で注目を集めています。
しかし、5-デアザフラビンの実際の効果については知られていない部分は多々あります。今回は、今現在分かっている5-デアザフラビンの効果と化粧品への応用について詳しく解説します。

5-デアザフラビンとはどんな物質?

5-デアザフラビンとは、ビタミンB2の構造の一部を変化させた物質です。そのため、「新型ビタミン」、「ビタミンBX」などと呼ばれています。
現在、5-デアザフラビンには若返り成分として知られる「NMN」を越える効果があるとして注目を集めています。NMNはエネルギーを作り出すのに必要なNAD+という補酵素を増やす働きがある成分です。NAD+は年齢とともに減少していくため、NMNが補うことで若返りを叶えると考えられています。5-デアザフラビンはNAD+自体を増やす働きはありませんが、構造がNAD+と非常によく似ているため不足したNAD+の働きを補うとされています。そのため、5-デアザフラビンはNMNと同様の働きを持ち、さらにその効果も高いことが明らかになっています。
さらに、5-デアザフラビンはNMNよりも化学的な構造が安定しているというメリットがあります。構造が安定しているため、人により良い効果を発揮できるように加工しやすく、さらに保管が簡単なため流通させやすいのです。

NMN

一方で、5-デアザフラビンはここ最近で新しく作られた成分ではありません。1990年代には学術誌でその存在や働きが語られていました。これまで注目されることはありませんでしたが、同様の働きを持つNMNが脚光を浴びたことで改めて注目されるようになったのです。効果などについてはまだ不明な点も多く、今もなお多くの研究が続けられています。

5-デアザフラビンの化粧品にはどんな働きがある?

新たな老化克服成分として注目を集めている5-デアザフラビンは、化粧品にも活用され始めています。広く普及している成分ではありませんが、高い若返り効果が期待できるとして加齢が気になり始めた世代の方に人気が出ています。
5-デアザフラビンの化粧品にはどのような効果があるのか詳しく見てみましょう。

ミトコンドリアを活性化させる!

ミトコンドリア

5-デアザフラビンにはミトコンドリアを強力に活性化させる働きがあります。
ミトコンドリアとは、私たちの細胞一つ一つに含まれる細胞内小器官のこと。1つの細胞には100~2000個のミトコンドリアが含まれており、総量は体重の10%を占めるとされています1)
ミトコンドリアの主な働きは生きていくために必要なエネルギーを作り出すことです。私たちは食べ物や飲み物から摂取した糖分や脂質を元にエネルギーを作り出していますが、その多くはミトコンドリアで作られています。

また、ミトコンドリアには細胞のアポトーシスという現象を制御する働きもあります。アポトーシスとは、古くなった細胞が自然に消失していく現象のことです。つまり、ミトコンドリアの機能が低下すると正常な周期でのアポトーシスが生じにくくなり、古くなった細胞が溜まりやすくなります。

5-デアザフラビンはミトコンドリアを強力に活性化するため、以下のような効果が期待できます。

  • エネルギーの産生量を増やす
  • アポトーシスを制御して古くなった細胞を消失させる

いずれも若々しさを維持するには必要な効果であり、5-デアザフラビンに秘められた老化克服効果を裏付けるものと言えるでしょう。

若返りの「長寿遺伝子」を活性化させる!

遺伝子

5-デアザフラビンには、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる働きもあります。
サーチュイン遺伝子の存在は2000年に発表された研究結果から広く知られるようになりました。サーチュイン遺伝子には、以下のような働きがあり、老化や寿命のコントロールに深く関わっていると考えられています2)

  • 血糖値を安定化する
  • 神経細胞を守って認知機能を維持する
  • 視力や聴力の維持
  • 腎機能の維持
  • 運動機能の維持
  • 免疫機能の維持
  • 妊孕性の維持

サーチュイン遺伝子は、NAD+によって活性化されることが分かっています。そのため、年齢と共にNAD+が減少していくと機能が低下し、老化を引き起こすと考えられているのです。
5-デアザフラビンは人の体内でNAD+と同様の働きをするため、サーチュイン遺伝子を活性化するとされています。従来の若返り成分であるNMNにもサーチュイン遺伝子を活性化するパワーはありましたが、5-デアザフラビンの方が活性化パワーは数倍高いことが明らかにされています。

NAD+

これらの働きだけ見ると5-デアザフラビンはサーチュイン遺伝子の活性化で老化を克服できる可能性を秘めていると考えられるでしょう。一方で、化粧品の美容成分としての効果があるかどうかについてはピンと来ない方も多いかも知れません。
さまざまな研究により、サーチュイン遺伝子はダメージを受けたミトコンドリアを修復する働きを持つことが明らかになっています。ダメージを受けたミトコンドリアはエネルギーを産生する際に活性酸素を多く放出するため老化を引き起こします。そのため、サーチュイン遺伝子は間接的に活性酸素を減らす働きがあり、肌の老化を防ぐ効果が期待できると考えられるでしょう。
また、サーチュイン遺伝子にはダメージを受けた細胞のDNAを修復する働きもあります。紫外線などのダメージで傷ついて細胞のDNAを修復することも老化克服につながると考えられています。

5-デアザフラビンの今後の展望

5-デアザフラビンにはまだ分かっていない部分がたくさんあり、さまざまな研究や実験が続けられています。実際に5-デアザフラビンを含むサプリメントを内服した症例の報告も多く上がっており、目覚ましい効果が得られたとするケースも少なくありません。

女性たち

例えば、50代女性はアンチエイジング目的に5-デアザフラビンのサプリメントを内服。肌の調子が整ったことに加え、持病の狭心症発作も落ち着いたことが報告されました。
5-デアザフラビンには、狭心症の発症に関わる心筋のカルシウムイオンの濃度を制御する働きがあるため、発作を抑えられたと考えられました。それと同時に、5-デアザフラビンには神経細胞を保護する働きがあることもわかっています。そのため、自律神経バランスが整ったことも発作を落ち着かせる理由なのではないかと考えられています。
自律神経バランスが乱れると血流が低下するため、全身にさまざまな影響を及ぼします。肌も血流が悪くなることで栄養が行き渡らなくなり、さらにはターンオーバーも乱れやすくなって肌荒れを引き起こすようになるのです。
5-デアザフラビンを内服して肌の調子が整ったメカニズムの一つに自律神経バランスが整ったことも挙げられるでしょう。

このように5-デアザフラビンの全貌解明にはこれから多くの検証を重ねていく必要があります。今後のさらなる解明に期待しましょう。

まとめ

遺伝子の活性化

若返り成分として多くの化粧品やサプリメントに活用されているNMN。このNMNと同様の効果を持ち、さらに数倍~数十倍の高い効果があるとされる5-デアザフラビンは今美容界で大きな注目を集めている成分です。
5-デアザフラビンはミトコンドリアやサーチュイン遺伝子を活性化することで高い老化克服効果があると考えられています。実際に5-デアザフラビンを投与した症例では肌の調子が整ったとする報告が多数あります。
現在、5-デアザフラビンは少しずつ化粧品やサプリメントに取り入れられるようになってきました。これまでのスキンケアでは満足な効果が実感できなかった方はぜひ5-デアザフラビンが配合された化粧品を試してみてください。

参考文献

1)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-054.html#:~:text=%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%EF%BC%88%E3%81%BF%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%A9%E3%82%8A%E3%81%82%EF%BC%89&text=%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AF%E3%80%81%E7%B4%B0%E8%83%9E%E5%86%85%E3%81%AB,%E3%81%8C%E5%AD%98%E5%9C%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29514064/

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