デアザフラビンとは

老化克服に挑む「5-デアザフラビン」~効果と構造の特徴は?

5-デアザフラビンは老化克服に挑む新たな医療サプリメントして注目を集めている物質です。若返り成分として広く使用されているNMNと同様の働きを持ちますが、効果は数倍~数十倍との報告も。さらに化学的な構造が安定しているため、保管が簡単であり、加工しやすいというメリットもあります。
5-デアザフラビンの効果と構造の特徴について詳しく見てみましょう。

5-デアザフラビンはどんな構造の物質?

5-デアザフラビンは、若返り成分として化粧品やサプリメントなどに広く使用されているNMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)と同様の働きをする物資として近年注目を集めています。5-デアザフラビンの返り効果はNMNの数倍~数十倍ともされており、これまでの多くの研究から老化克服に挑めると考えられている物質です。
5-デアザフラビンはどのような構造をした物質なのか詳しく見てみましょう。

5-デアザフラビンはビタミンB2の変化バージョン

5-デアザフラビンは自然界にも存在する水溶性ビタミン「ビタミンB2(リボフラビン)」の構造の一部が変化した物質です。そのため、5-デアザフラビンは新ビタミンB2やビタミンBXなどと呼ばれることもあります。

ビタミンBX

ビタミンB2の炭素を取り除く!

デアザフラビンの「デ」は取り除くという意味であり、「アザ」は窒素という分子を意味する言葉です。つまり、デアザフラビンは、リボフラビンに存在する窒素の一部が取り除かれた物質であることを意味します。
デアザフラビンの窒素は炭素という分子に置き換えられています。

「5」は化学式の位置=住所

5-デアザフラビンの「5-」は化学式の位置を示す住所のようなものです。デアザフラビンには、いくつか窒素分子がありますが、5-デアザフラビンはその中でも「5」の位置にある窒素が炭素に置き換わった物質。その他の位置の窒素が置き換わったものは5-デアザフラビンとは呼びません。
一見するとわずかな違いに思えるかもしれません。しかし、例えばピアスを鼻、耳、おへそ、舌、など付ける位置によって意味合いが大きく異なるように、どの部分の窒素が置き換わっているかは化学構造として非常に重要なことです。

鼻ピアス

5-デアザフラビンの構造は補酵素「NAD+」と非常によく似ている

デアザフラビンの中でも5-デアザフラビンは、私たちの体内にあるNAD+と非常によく似た構造をしています。NAD+は老化を克服するために必要な補酵素であり、NMNは体内でNAD+に変換されることで若返り効果を発揮します。
一方、5-デアザフラビンは構造自体がNAD+と非常によく似ているため、体内に取り入れるとNAD+として働き、若返り効果を発揮すると考えられています。

5-デアザフラビンにはどんな働きがある?

5-デアザフラビンと従来の若返り成分NMNはともに体内でNAD+の働きを補うことで老化克服を叶える物質です。
具体的には、どのような働きを担うのか詳しく見てみましょう。

ミトコンドリアの活性化

ミトコンドリア

5-デアザフラビンとNMNにはミトコンドリアを活性化する働きがあります。ミトコンドリアとは、細胞の1つ1つに含まれる細胞内小器官のことです。1つの細胞には100~2000個ものミトコンドリアが含まれています。
ミトコンドリアは非常に小さな器官ですが、私たちが生きていくために必要なエネルギーの9割以上を生み出す重要な働きがあります。また、古くなった細胞が自然に消滅していく「アポトーシス」という現象を制御することで、体の新陳代謝を正常化。さらにはがんなどの病気を予防する働きもあるとされています。
ミトコンドリアは年齢を重ねると機能が低下していく細胞内小器官です。加齢とともにエネルギーは不足しがちになり、体中の新陳代謝が上手く回らなくなるため、さまざまな老化現象を引き起こすようになります。
ミトコンドリアの活性化にはNAD+が必要ですが、NAD+もまた加齢によって減少していく補酵素です。5-デアザフラビンやNMNは不足したNAD+の働きを補うことでミトコンドリアを活性化し、老化を抑え、さまざまな老化現象を改善する効果があるとされています。

長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」の活性化

遺伝子

5-デアザフラビンとNMNは長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化する働きもあります。サーチュイン遺伝子はカロリー制限などをすると活性化する性質があり、老化を予防したり寿命を延ばしたりする働きがある遺伝子として注目されています。
2000年に初めて研究発表が行われ、酵母というカビがサーチュイン遺伝子を持つと寿命が長くなり、持たないと寿命が短くなることが明らかになりました。
私達もサーチュイン遺伝子を持ちますが、多くの研究によって血糖値の安定化や神経細胞の保護といった働きを担うことが明らかになりつつあります。
このサーチュイン遺伝子もNAD+によって活性化されるため、5-デアザフラビンとNMNにもサーチュイン遺伝子を活性化する働きがあるとされています。

5-デアザフラビンの強みとは?

5-デアザフラビンはNMNと比べてミトコンドリアを活性化する働きは数十倍、サーチュイン遺伝子を活性化する働きは数倍高いことが分かっています。
しかし、5-デアザフラビンが優れているのは効果の高さだけではありません。上述したように天然成分のビタミンB2の一部を変換した構造をしていることで、以下のような強みがあります。

化学的に安定している

ベンゼン環

5-デアザフラビンもNMNも炭素が六角形に結びついた「ベンゼン環」という輪っかを持ちます。NMNは1つのベンゼン環であるのに対し、5-デアザフラビンのベンゼン環は3つ。5-デアザフラビンはNMNよりも強い構造を持つのです。例えれば、NMNは軽自動車のフレームであり、5-デアザフラビンのフレームはドイツ車と言えます。
5-デアザフラビンは化学的な構造が強固であるため、化学的に安定した物質です。そのため、常温で保管しても化学構造が崩れず、流通時の品質管理が簡単であることが大きな強みとなっています。

加工しやすい

5-デアザフラビンはフレームが非常にしっかりした物質であり、加工のしやすさも強みの一つです。
5-デアザフラビンの構造の一部を変えてカスタマイズした物質の中から特に高い若返り効果が期待できる物質を選別したものは「TND1128」と命名されて化粧品やサプリメントに使用されています。

5-デアザフラビンの弱点とは?

水に溶ける

5-デアザフラビンはNMNと比べて優れている点が多くあります。しかし、「水への溶けやすさ」という点はNMNの方がはるかに上です。
5-デアザフラビンは水に溶けにくい性質であるため、効率よく吸収できないのが弱点となります。飲みサプリメントや塗る化粧品に5-デアザフラビンを取り入れるには、吸収率を高める技術の開発が必要です。現時点でも、5-デアザフラビンの吸収率を高める技術が開発され特許も取得されていますが、より広い普及には更なる技術の開発が必要となるでしょう。

まとめ

NAD+

5-デアザフラビンはビタミンB2の構造の一部を変えた物質です。従来の若返り成分であるNMNと同様、ミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化する働きがあります。化学的な構造がミトコンドリアとサーチュイン遺伝子の活性化に必要なNAD+という補酵素と非常によく似ているため、体内に取り入れるとNAD+として働くのが特徴です。
また、5-デアザフラビンは化学的な構造が非常に安定しているため、保管が簡単であること、加工しやすいことも大きなメリットとなっています。水に溶けにくい性質であるため、人への吸収率を高める技術の開発は今後も必要となりますが、老化克服に挑む新たな医療サプリメントとして大いに期待できる物質でしょう。

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