新型ビタミンである5-デアザフラビンは、美容や健康に良い成分としてサプリメントなどに含まれています。しかし、その効果については不明な点も多く、どのような成分なのか分からないまま使用している方も多いでしょう。
今回は、5-デアザフラビンの効果を探った10の実例と結果をご紹介します。
5-デアザフラビンってどんな成分?
5-デアザフラビンは新型ビタミンとも呼ばれ、老化を克服する効果が期待できるとして注目を集めている成分です。まずは、5-デアザフラビンについて詳しく見てみましょう。
5-デアザフラビンは、ビタミンB2を変換させたもの!
5-デアザフラビンは、ビタミンB2の構造の一部を変化させた成分です。そのため、5-デアザフラビンは新型ビタミンとも呼ばれています。「若返り成分」としてさまざまな化粧品やサプリメントなどに使用されているNMNと非常によく似た構造をしており、効果も共通する部分があります。
5-デアザフラビンは、老化を克服する!
NMNはミトコンドリアや若返り遺伝子とされるサーチュイン遺伝子を活性化する働きを持つ成分です。多くの研究の結果、5-デアザフラビンは、NMNと比較してミトコンドリアを活性化させる働きが数十倍、サーチュイン遺伝子を活性化させる働きが数倍も高いことが分かっています。
つまり、5-デアザフラビンには従来の成分に比べて高い老化克服効果が期待できるのです。また、5-デアザフラビンは構造が安定しているため常温保存が可能であり、NMNに比べて流通させやすいのも大きなメリットとなります。
5-デアザフラビンのサプリメントにはどんな効果がある?実例を紹介
現在、5-デアザフラビンはサプリメントに含まれて販売されています。5-デアザフラビンの中でも特に老化克服効果が強いものを選別した成分は「TND1128」と名付けられ、多くの有益な効果が報告されてきました※)。
TND1128を含むサプリメントにはどのような効果が期待できるのか、10の実例をご紹介します。
60代男性 Ⅰ型糖尿病
28歳でⅠ型糖尿病と診断され、インスリン注射で治療をしていた方です。その他にも高血圧、脂質異常症を患っていました。TND1128を内服したところ、血圧が安定して降圧薬が不要になったとのことです。また、脂質異常症も改善し、血糖値も下がったことが報告されています。
この結果は、5-デアザフラビンは老化に伴って生じやすくなる生活習慣病改善に役立つことが示唆されました。
80代女性 慢性腎不全
80歳のときに急性心筋梗塞を発症し入院。入院中の検査で慢性腎不全を指摘され、透析を検討していた方です。TND1128を内服したところ腎機能が改善し、透析の導入を回避できたと報告されました。
従来から、腎不全にはミトコンドリアの機能不全が関与しているのではないかと考えられてきました。今回の結果は、5-デアザフラビンによるミトコンドリアの活性化が腎機能改善に役立った可能性を示唆しています。今後、さらに研究が進んで腎不全治療に応用されることが期待されています。
50代女性 冠攣縮性狭心症
48歳のときに心臓カテーテル検査を行い、冠攣縮性狭心症と診断された方です。冠攣縮性狭心症とは心臓を栄養する冠動脈が収縮して血流が悪くなる病気で、重症な場合は心筋梗塞へ進行します。この患者さんは、治療をしても効果が自覚できず自己中断を繰り返していました。
ところが、TND1128を内服したところ、狭心症発作が消失したとのことです。5-デアザフラビンには神経細胞を保護する働きがあり、自律神経の乱れが改善したことで発作が消失したのではないかと考えられました。
60代女性 喘息
幼少期より喘息を患っていた方です。喘息の程度は重症であり、日常生活にも支障をきたしていたとのことです。しかし、1TND1129を内服したところ、喘息発作が消失して日常生活に制限がなくなったと報告されました。
喘息は気管支が収縮することで呼吸が苦しくなる病気です。気管支の収縮にはカルシウムイオンが関わっています。5-デアザフラビンによるミトコンドリアの活性化でカルシウムイオンが排出された結果、気管支の収縮が抑制されたと考えられました。
40代男性 頚椎症、後縦靭帯骨化症疑い、脊柱管狭窄症
35歳頃から右肩~首にかけての痛みがあり、上記の診断が下された方です。美容目的にたまたまTND1128を内服したところ、症状が改善したと報告されています。
5-デアザフラビンには、神経を保護する効果があるとされています。その結果、頚椎症などによる神経症状を改善したと考えられました。
40代男性 肝機能障害、痛風
33歳のときに健康診断で肝機能障害を指摘され、生活改善を試みても長年数値が改善しなかった方です。知人から譲り受けたTND1128を内服したところ、肝機能が改善。会食などで飲酒ができるようになったと報告されています。
5-デアザフラビンには、肝臓の機能を保護する働きがあると期待されており、期待通りの結果となりました。
80代女性 認知症
進行する認知症の症状があった方です。認知症には確立して有効な治療法はありませんが、この患者さんは診断されてから二か月後にTND1128の内服を開始しました。その結果、症状が改善して社会生活ができるようになったと報告されています。
5-デアザフラビンには、神経細胞を保護してアルツハイマー型認知症などを改善する効果が期待されています。本症例は、その期待を証明する形となりました。
70代女性 肝細胞がん(ステージⅣ)
50歳のときに肝硬変が発見され、71歳で肝細胞がんと診断された方です。副作用があるため抗がん剤投与などはできず、がんは進行して末期の状態になりました。TND1128の内服を開始したところ、肝機能低下による腹水などの症状が改善したとのことです。
この結果から、5-デアザフラビンによるサーチュイン遺伝子とミトコンドリアが活性化したことで、細胞の代謝が改善してがんの症状を改善したと考えらました。
50代男性 新型コロナウイルス後遺症
50歳のときに新型コロナウイルスに感染し、治癒後も強い倦怠感が続いて寝たきり状態になった方です。確立した治療法が見つからないままTND1128の内服を開始したところ、約2か月で倦怠感が改善したとのことです。約4カ月後には社会復帰も果たしました。
明確なメカニズムは解明されていませんが、脳の神経細胞が保護されたことで症状が改善したのではないかと考えられています。
そのほか、5-デアザフラビンは、男性型脱毛症や勃起障害など人のコンプレックスに関わる病気の改善、卵子の状態を良くしたことによる不妊症の改善などの効果も報告されています。まだ不明な点も多いですが、私たちにとって良い効果がたくさんあるのは確かでしょう。今後のさらなる解明と健康や美容への応用が期待されます。
まとめ
5-デアザフラビンは、老化を克服する新型ビタミンとして注目を集める物質です。若返り成分として広く使用されているNMNより若返り効果が数倍~数十倍も高いとされています。
一方で、5-デアザフラビンの働きは解明されていない部分も少なくありません。今回ご紹介した10の実例では、美容の分野だけではなく病気の治療にも応用できる可能性が示唆された結果となりました。
10の実例でも透析の導入が回避できるなど、患者さんのQOLや医療経済に良い効果も報告されています。今後、5-デアザフラビンの研究がさらに進み、美容や治療に広く使用できる日が来るかも知れません。
参考文献
※)21世紀の新常識「老化は治る。」新型ビタミンが世界を救う!!
乾雅人 (著), 日本先進医療臨床研究会 (編集)