5-デアザフラビンは、高い若返り効果があるとして現在大きく注目されている成分です。すでに老化に伴う多くの症状や病気を改善したとする報告も挙げられています。
5-デアザフラビンにはどのような特徴があり、一日にどれくらいの量を摂取すればよいのでしょうか?今回は5-デアザフラビンの特徴や一日あたりの摂取量について実例も交えて解説します。
5-デアザフラビンとはどんな成分?
5-デアザフラビンは若返りを叶える高い効果があるとして注目を集めている成分です。従来の若返り成分NMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)と同様の作用を持ちますが、その効果は数倍~数十倍高いとされています。
まずは、5-デアザフラビンとはどのような成分なのか、特徴を見てみましょう。
5-デアザフラビンはビタミンB2が変化した成分
5-デアザフラビンは自然界にも広く存在するビタミンB2の化学的な構造の一部を変化させた成分です。この構造が私たちの体内にあるNAD+と呼ばれる補酵素と非常によく似ているため、体内に取り込まれるとNAD+として働きます。
NAD+は年齢を重ねるごとに産生量が減少していく補酵素です。NAD+には老化を抑制する働きもあるため、減少していくと全身にさまざまな老化現象が生じることに。5-デアザフラビンを内服すると不足しがちなNAD+が補われ、年齢による症状や病気の予防・改善につながると考えられています。
高い効果の理由と一日の摂取量は?
現在美容医療の場で広く使用されているNMNは体内に取り入れられるとNAD+の産生を促す効果を発揮します。そのため、内服するとNAD+が増加することで若返り効果が得られるとされているのです。5-デアザフラビンは上述したように内服するとダイレクトにNAD+として効率よく働くため、NMNよりも即効性があり高い効果が期待できるとされています。
現在、5-デアザフラビンは老化克服の医療サプリとして医療や美容に広く取り入れられるようになりつつあります。まだ5-デアザフラビンに対する大規模な臨床研究は行われていません。しかし、すでに5-デアザフラビンを含むサプリメントによってさまざまな老化克服効果が報告されているのが現状です。多くは一日につき5-デアザフラビン100mgが含まれたサプリメントの摂取が推奨され、短期間で高い老化克服効果が出ていることも報告されています。
5-デアザフラビンの働きとは?
5-デアザフラビンはミトコンドリアと長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」の活性化によって老化克服効果を発揮しているとされています。それぞれどのような働きなのか詳しく見てみましょう。
ミトコンドリアの活性化
5-デアザフラビンの主な働きの一つがミトコンドリアの活性化です。ミトコンドリアとは、私たちの細胞一つひとつに含まれる細胞内小器官であり、一つの細胞には100~2000個ものミトコンドリアが存在しています。
ミトコンドリアは直径500ナノメートルの非常に小さな細胞内小器官です。しかし、ミトコンドリアでは私たちが生きていくために必要なエネルギーの約90%が作り出されています。また、ミトコンドリアには古くなった細胞や異常が生じた細胞が自然に消失していく「アポトーシス」という現象を制御する働きもあります。つまり、ミトコンドリアは私たちのエネルギーを補い、さらに体の新陳代謝を整える働きを担っているのです。
しかし、ミトコンドリアの機能は年齢を重ねると少しずつ低下していきます。老化による症状や病気はミトコンドリアの機能低下に起因するケースも少なくありません。
5-デアザフラビンは加齢に対抗してミトコンドリアを強く活性化する働きがあるため、老化現象を予防したり改善したりする効果が期待されています。
長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」の活性化
5-デアザフラビンには、サーチュイン遺伝子を活性化する働きもあります。サーチュイン遺伝子は2000年にその効果が報告された遺伝子であり、加齢にともなう現象を抑えて寿命を延ばす働きがあるとされています。そのため、長寿遺伝子とも呼ばれることも。
サーチュイン遺伝子には現在のところ7つのタイプがあることが分かっており、血糖値の安定化、脂肪代謝の促進、神経細胞の保護といった効果を発揮することが報告されています。
5-デアザフラビンはこのサーチュイン遺伝子を活性化することで、全身のさまざまな老化現象を予防・改善する効果を持つと考えられています。
5-デアザフラビンを一日100mg摂取したときの効果とは?
5-デアザフラビンは、ミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化することで高い老化克服効果を発揮すると考えられています。5-デアザフラビンには数百種類のタイプがありますが、その中でも特に高い効果が期待できる10種類を厳選して調合したサプリメントは「TND1128」と命名。現在、医療や美容に広く使用されるようになりつつあります。
このTND1128を一日100mg摂取すると、どのような効果が得られたのか実例を見てみましょう。
糖尿病、高血圧、脂質異常症すべてが改善した!
Ⅰ型糖尿病を発症して40年になる60代後半の男性患者にTND1128を一日100mg投与したところ、以下のような効果が得られたことが報告されています。
- 一週間で合併する高血圧が改善(降圧薬が不要になる)
- 血糖値のコントロールが改善
- 血液検査では脂質異常症も改善
Ⅰ型糖尿病は、自分自身の免疫ですい臓のβ細胞を攻撃してしまう病気です。β細胞では血糖値を下げるインスリンが作られているため、発症するとインスリンが正常に分泌されなくなり血糖値が制御できなくなります。β細胞のミトコンドリア機能不全も発症の引き金になるとの説もあり、今回5-デアザフラビンを投与したところ併発する高血圧と脂質異常症も含めて症状改善を認めました。
慢性腎不全が改善し、透析導入を回避できた!
慢性腎不全と診断された80代後半の女性患者にTND1128を一日100mg投与したところ、以下のような効果が得られたことが報告されています。
- 一か月で腎機能が改善
- 透析治療をしなくてもよい状態になった
慢性腎不全は進行すると体内に老廃物や余分な水分がどんどん蓄積するようになるため、人工的に血液中から老廃物や水分を取り除く透析治療が必要になります。透析は週に3回、数時間の治療を要するため日常生活に大きな影響を及ぼします。この患者は既存の治療を行っても腎機能が回復せず、透析の導入を検討していたところでした。慢性腎不全は腎細胞のミトコンドリア機能低下も原因の一つであるという仮説の元で5-デアザフラビンを投与したところ、腎機能が改善して透析を回避することができました。
認知症を改善し、発症前の状態に戻った!
認知症と診断され、会話でのコミュニケーション、着替え・トイレ・入浴などの日常生活上の動作ができなくなった80代後半の女性患者にTND1128を一日100mg投与したところ、以下のような効果が得られたと報告されています。
- 一週間後に着替え・トイレ・入浴が一人でできるようになった
- 一か月後には会話でのコミュニケーションができるようになった
- 半年後には読書ができるようになった
- 8カ月後には認知症発症前と同じ状態になった
認知症は進行を抑える薬剤はあるものの、症状を劇的に改善する治療法は現在のところありません。一方で、これまでの動物実験から5-デアザフラビンは神経細胞を保護する働きを持つことが示唆されています。そのため、この患者に5-デアザフラビンを投与したところ著しい症状改善を認めました。
このほかにも、5-デアザフラビンを一日100mg内服すると、肝機能障害、狭心症、新型コロナウイルス感染症後遺症などが改善したことが報告されています。また、肌質や髪質が改善したとの報告もされており、医療や美容に良い効果を持つことが示唆されています。
まとめ
5-デアザフラビンは、新たな老化克服の医療サプリメントとして現在多くの注目を集めている成分です。従来の若返り成分NMNよりも高い効果があるとして、すでに老化に伴う症状や病気を改善したとの報告も多く寄せられています。
5-デアザフラビンの中でも特に高い効果が期待できる10種類を厳選したサプリメントはTND1128と呼ばれ、一日100mgの摂取が推奨されています。今回ご紹介したようにTND1128を一日100mg投与したことで老化に伴う生活習慣病や認知症、肌や髪質の乱れを改善したとの報告がされています。5-デアザフラビンは、これまで有効な治療法がなかった症状や病気の治療薬となれる可能性は大いにあるでしょう。今後のさらなる解明に期待します。