デアザフラビンとは

老化克服サプリ「5-デアザフラビン」と補酵素NAD+の関係と今後の課題

5-デアザフラビンは、老化克服の新型ビタミンとして医療や美容の場で広く使用され始めている物質です。NAD+という補酵素と同様の働きを発揮することで若返り効果を実現するとされていますが、効果や即効性の高さから注目を集めています。
5-デアザフラビンと補酵素NAD+の関係と今後の課題について詳しく解説します。

5-デアザフラビンにはどんな老化克服作用がある?

5-デアザフラビンは、ビタミンB2の構造の一部を変えて作られる物質です。以前から存在は知られていましたが、近年になって高い若返り効果を持つことが分かり注目を集めています。
5-デアザフラビンにはどのような若返り効果があるのか詳しく見てみましょう。

エネルギーアップと新陳代謝の活性化

代謝

5-デアザフラビンにはミトコンドリアを活性化する働きがあります。ミトコンドリアは私たちの細胞に含まれる細胞内小器官のこと。1つの細胞には100~2000個ものミトコンドリアが含まれていると考えられています。
ミトコンドリアは生きていくために必要なエネルギーを作る働きを担っています。非常に小さな器官ですが、必要なエネルギーの90%以上を作っているのがミトコンドリアです。
また、ミトコンドリアには古くなったり異常が生じたりした細胞が自然に消失し、新しく正常な細胞に置き換わる「アポトーシス」という現象を制御する働きもあります。つまり、ミトコンドリアには体中の新陳代謝を促す働きもあるのです。
ミトコンドリアの機能は年齢と共に低下していきます。老化に伴うさまざまな現象はミトコンドリアの機能低下も要因であり、5-デアザフラビンで活性化を図ることで老化現象を予防・改善できると考えられています。

遺伝子レベルで老化を抑える

遺伝子

5-デアザフラビンには、長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化する働きもあります。サーチュイン遺伝子は2000年に初めてその働きが報告された遺伝子です。老化を抑えて寿命を延ばす働きを持つことが明らかになっています。
サーチュイン遺伝子はカロリー制限をすると活性化することが分かっています。しかし、過度なカロリー制限を継続していると免疫機能低下などさまざまな不調を引き起こし、リバウンドなどが生じてしまうことも。現実的ではありません。5-デアザフラビンはサーチュイン遺伝子を活性化させる高い効果を持つことがさまざまな研究から明らかにされています。
これまでにもサーチュイン遺伝子を活性化する物質としてNMNがサプリメントや化粧品などに使用されてきました。5-デアザフラビンはNMNよりも数倍高くサーチュイン遺伝子を活性化できるとされています。

5-デアザフラビンと補酵素NAD+の関係

5-デアザフラビンには、ミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化してさまざまな老化現象を予防・改善する効果があります。5-デアザフラビンはどのようなメカニズムでミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化しているのでしょうか?

5-デアザフラビンは補酵素NAD+と構造がよく似ている!

NAD+

5-デアザフラビンはビタミンB2の化学的な構造の一部を変えて作られた物質です。5-デアザフラビンの構造はNAD+という補酵素と非常によく似ています。
NAD+はミトコンドリアやサーチュイン遺伝子を活性化する働きがありますが、年齢とともに減少していく補酵素です。ミトコンドリアやサーチュイン遺伝子の機能が年齢によって低下するのは、NAD+の減少も大きな要因の一つとなっています。
5-デアザフラビンは体内に入るとNAD+として働くことが分かっています。つまり、加齢によって不足したNAD+を補ってくれる働きがあるのです。

5-デアザフラビンはダイレクトにNAD+として働く

NAD+

5-デアザフラビンは、NAD+と構造が非常によく似ているため体内に入るとそのままNAD+としてダイレクトに機能するのが特徴の一つです。
従来の若返り成分として広く使用されているNMNという物質も5-デアザフラビンと同じくミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化する作用があります。しかし、NMNは体内に取り込むとダイレクトにNAD+として機能はしません。NMN自体がNAD+の産生を促して、NAD+を増やします。
5-デアザフラビンは摂取と同時にNAD+として効率よく機能します。一方、NMNはNAD+への変換という段階を経て効果を発揮するため、摂取してから実際に効果が現れるまでにはタイムラグが生じるのです。
5-デアザフラビンの若返り効果はNMNよりも数倍~数十倍高いとされていますが、即効性の高さも5-デアザフラビンのメリットと言えます。

5-デアザフラビンにもデメリットがある?

5-デアザフラビンは優れた若返り効果を持つため、サプリメントや化粧品などに広く使用されるようになっています。しかし、デメリットがないわけではありません。
現在報告されている5-デアザフラビンのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

水に溶けにくい

水と女性

5-デアザフラビンの最大のデメリットは、水への溶けにくさです。水に溶けにくいため、サプリメントや錠剤で投与する場合は効率よく吸収させることが難しいとされています。より効率よく投与できる方法の開発が5-デアザフラビンの課題と言えるでしょう。
一方、従来のNMNは水に溶けやすい性質のため効率よく吸収されることが可能です。効果は5-デアザフラビンに劣りますが、吸収率の観点からはNMNに軍配が上がっています。そのため、必要に応じて5-デアザフラビンとNMNを併用した治療を行う場合も少なくありません。

まれに副作用が生じることも…

肝機能障害

5-デアザフラビンは人の体には害のないビタミンB2の一部が変わった物質です。体内では不足した補酵素のNAD+と同様の働きを持つため、私たちの体に大きな悪影響はないと考えられています。
一方で、これまで5-デアザフラビンを摂取したところ、ごくまれに副作用が生じたケースも報告されています。代表的な副作用としては肝機能障害が挙げられます。しかし、ごく軽度な異常であり、肝機能障害が生じたケースでは全例で摂取を中止すると自然に肝機能は改善したとされています。発生率も0.05~0.1%程度であるためごくまれに生じる軽度な副作用といえます。
また、一部では脱毛の副作用も報告されてました。5-デアザフラビンには育毛の効果もあり、相反する副作用が生じたメカニズムは解明されていません。また、報告数も非常に限られた件数であるため副作用と断言できないのが現状です。しかし、脱毛は見た目にも大きく影響する症状であるため、5-デアザフラビンを摂取する場合には注意が必要な症状でもあります。

まとめ

遺伝子の活性化

5-デアザフラビンは、ミトコンドリアとサーチュイン遺伝子を活性化することで老化を克服する物質です。老化克服の医療サプリメントとして販売が開始され、多くの有益な効果が報告されています。
5-デアザフラビンはビタミンB2の一部を変えた物質ですが、ミトコンドリアをサーチュイン遺伝子の活性化を促す補酵素NAD+と非常によく似た構造をしています。そのため、体内に取り入れるとNAD+と同様の働きをして若返り効果を発揮するのです。
5-デアザフラビンはダイレクトにNAD+として作用し、高く即効性のある若返り効果があるとして注目を集めています。いくつかのデメリットもありますが、今後さらなる研究と開発が進み、5-デアザフラビンが医療や美容の場に広く活用できる日が来ることを期待します。

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